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はじめに

犬の先進国である欧米では、ブリーダーは「犬種の番人」としてその犬種を守り、
発展させる役割を率先して果たしています。
ブリーダー運営による非営利の「犬種クラブ」が発達しているのも そういう意識が
徹底しているからと言えるでしょう。
「犬種クラブ」では 上記のような責任について 繁殖者がきちんとした対応ができるよう
メンバー間で厳しい倫理ルールを定め、それらを遵守した繁殖を行っています。
 
そして「犬種クラブ」と同様に「犬種レスキュー」も 活動の中心を担っているのは
実はブリーダーたちなのです。
それが 生命を生み出した者の当然の責任と考えられているのです。

ECSRNは 繁殖するのであれば、欧米のブリーダー同様の意識と責任を持って臨むことを
強く望みます。
私たちが考える繁殖者の意識と責任について、どうぞご一読ください。



基本姿勢:「繁殖するならレスキューすべし」

E.コッカーの繁殖・交配をする人への要望です。
犬の繁殖の現実は、恐らくほとんどの人が最初に考えているよりもずっと責任の重いことです。
私たちは、この世に生命を生み出すことへの責任を次のように考えます。

・繁殖者には、全ての仔犬に対してその生涯にわたって責任があります。
譲った仔犬が1年後や5年後に元気でいるかどうか、適切な飼い方をされているか 
などを知ることができる状態を作るかどうか。
また、仔犬を譲った相手がずっと 後になって飼えなくなったと言ってきた時にどう対処するか。
これらのことは、全て繁殖者のあなた次第です。
但し、自分で責任を持てる範囲をはっきりとさせることは 繁殖に関わる前にきちんと考えて
おかなくてはなりません。
成り行きに任せたり、考えないままに繁殖することは、生命に関わる立場の人間が取るべき
態度ではないでしょう。
そして、それらは事前に譲渡先に伝え、同意を得ておくべきことでもあります。

・繁殖者として、譲った仔犬の繁殖についても責任があります。
仔犬を譲った先の飼い主がそれぞれの犬を繁殖させたとしたらどういう事態になるか、
少し考えれば、誰でも想像がつくでしょう。
考えもしなかった数の仔犬が、この世に誕生することになります。
その可能性は少ないかもしれませんが、全くゼロではありません。
それぞれの仔犬が成長した時に繁殖に適しているかどうか、適切な判断ができる状態を
作っておかない限り、不幸なE.コッカーが生まれてしまうリスクは大きくなってしまいます。

・繁殖者は、仔犬とその飼い主に対して、できる限りの健康を提供する責任があります。
犬を欲しがる人は誰もが皆、身体的にも気質的にもできるだけ健康な犬を求めています。
もし、あなたが繁殖した仔犬に遺伝性疾患が発症したとしたら、どうしますか?
遺伝疾患の中には、何年も経ってから発症するものも少なくありません。
その時、繁殖者としてどう対処しますか?
そういったリスクを極力避けるためには、繁殖の前に最大限の準備をしておく必要が
あります。



繁殖者がレスキューできない状態を作るような交配・繁殖は容認できません

1) 遺伝疾患や気質的な問題を抱えるリスクの高い繁殖
遺伝疾患も気質の面も、問題が深刻であり過ぎれば、全ての関係者にかかる負担は
計り知れません。
特に先進国のような「犬種クラブ」が機能していない日本では、これらの問題は
今後ますます深刻になることは、想像に難くありません。

2) 仔犬の行き先を繁殖者が追跡しきれない形で手放す繁殖
仲介業者やペットショップに卸す、ネットオークションで販売するなど、簡単に手放される
リスクが高く、且つ仔犬の追跡が難しい譲渡には賛同しかねます。

3) 繁殖者自身で世話ができなくなって里親探しの必要が生じるような多頭飼育下での繁殖
繁殖者が病気で倒れる、離婚する、経済的に逼迫する等々、さまざまな理由から、実際
長期間にわたって犬を維持管理し続けていくことには困難が生じるものです。
万一のケースを想定しての適正な頭数管理は、繁殖者に求められる責任です。



繁殖するのであれば 以下の事柄を満たしていることを望みます

1) その犬が繁殖に適しているかどうかを 以下の点で検証する
・外貌面:各部の構造、サイズ、被毛など犬種スタンダードを考慮しているかどうか
純血種である以上、その犬種に求められるスタンダードを崩すような結果になる繁殖は、
飼育放棄などを招きかねません。
最終的に犬にしわ寄せが行くことになるような繁殖は、極力避けるべきと考えます。

・健康面(事前検査でチェックすべきプロセスを全て・血統調査を含む)
血統書を遡り、血統の中で遺伝疾患を持った犬がいないかどうか調査する。
交配前にできる限りの遺伝疾患検査を行い、公的証明を取る。

・気質面(チェックすべきプロセスを全て/血統調査を含む)
血統書を遡り、血統の中で 気質的な問題を持った犬がいないかどうか調査する。

上記の要素全てを調べ総合した上で、血統的に繁殖に適しているかどうかを検証することが
重要です。
また、その交配によって具体的にどういう結果を求めるか、繁殖プランの明確なビジョンを
持つ事は大変重要です。
言い換えれば、犬種の向上と繁殖者の求める理想のE.コッカーについて、なんらビジョンを
持たない繁殖はすべきではありません。

2) 交配候補について、繁殖相手として適しているかどうか検証する
1)にあるような外貌面、健康面、気質面がチェック済の相手を選ぶことは最低条件でしょう。
それらをクリアした犬の中から、繁殖プランに副った相手を選ぶというプロセスが求められると考えます。

3) 貰い手(譲渡先)の選択&確保
自分と自分の愛犬が、膨大な労力と愛情をかけて生み出した繁殖犬です。
その大切な仔犬を譲っても良いと判断する基準をしっかりと設けなければ、それまでの
苦労は報われません。
勿論、貰い手の見込みが立たない状態で繁殖することも避けるべきでしょう。

4) 契約書などによる譲渡先への約束事の提示&遵守
譲った仔犬について、将来的な保障についてどう考えているか、また譲渡先に望む事柄などについて、
お互いきちんと約束できる形を取っているかどうかはとても重要です。
繁殖者と飼い主がそれぞれの意思に合意していることを文書で取り交わすことで、将来
起こるかもしれないトラブルを未然に防ぐことに役立ちます。
(トラブルが起きた際、最も多いのは「言った、言わない」「そんなつもりではなかった」云々のやりとりです。)

5) E.コッカーについて 飼い主からの相談や質問に応えることのできる知識および経験と、
繁殖した全ての犬への一生涯にわたってのフォロー&サポート
ECSRNの基本姿勢「繁殖したならレスキューすべし」の項で説明した、繁殖者に求められる
責任を果たすには、繁殖への情熱だけではなく、日進月歩する遺伝学や獣医学、
また血統等についての知識を常に更新する必要性、それらの情報を整理し理解する努力などは
不可欠です。
また、繁殖犬の数が増えれば、それだけフォローしなければならない譲渡先も増え、当然、
責任も増していきます。

6) 要レスキューになった場合の受入れ態勢や対処方法の完備
もし、自分の繁殖犬がレスキューを必要とした状態になった時、実際に繁殖者として
どれだけ誠意を持って対応するかは、真にその犬種を愛する繁殖者であるかどうかの
判断材料となるだけでなく、ひとりの人間としての資質をも伺い知ることができるのでは
ないでしょうか。
それは、犬を自分の元に引き取るかどうかといった形で判断されるものではなく、
その人の誠意の部分で、信頼に足る人間であるかどうかが判明する結果となるでしょう。



まとめ

このように、犬の繁殖というものは大変責任重大なものですし、実行するのには、難しい課題を
ひとつひとつクリアしていかなければなりません。
仔犬を産ませ育てることだけなら、少しの準備があればできることかもしれませんが、それは
繁殖のごく一部分にしか過ぎません。
生命を生み出す人間に求められることは、実はとても多く厳しいものです。
自分が作り出した犬の生命に対する責任を、そしてその繁殖によって及ぼす影響のことを
是非考えてみていただきたいと、強く願います。

E.コッカーに限らず、今の日本の犬たちがおかれている現状を見回してみて欲しいのです。
そうすれば「自分の犬を、一度くらいなら交配させても大丈夫だろう」というような感覚のもとに
繁殖することの問題の多さを認識することになるでしょう。

SOSを発するE.コッカーと家族を、1頭でも減らすために、どうぞご協力ください。


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