■皮膚 |
イヌの皮膚は人間よりもずっとデリケートで、また沢山の毛で覆われているため、 しばしば汚れや細菌が付着し、とれにくくなります。 そのため、イヌの皮膚病は人間より多くみられます。 体質的なものの場合、予防はむずかしいですが、なるべく食べ物の 栄養バランスに注意し、免疫力をアップさせるよう配慮します。 定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保つことが大切です。 また 特になりやすい部分(下記参照)は、普段からこまめに皮膚の状態を チェックし、濡れたままの状態で放置しないよう よく乾かしておきます。
以下がE.コッカーに比較的多くみられる皮膚病です。 |
◇脂漏症 |
◇脂漏症
【症状】
E.コッカーによくみられるのは油性脂漏症と呼ばれるものです。
普通、皮膚のシワになったところからはじまり、油性のフケがでるようになってべとつき、
痒みやにおいもきつくなります。
よくなりやすいところは、唇、首、肘の前、膝の後ろ、かかとの前側、わきの下、鼠径部、
陰嚢の周り、へその周り、指の間などで、アトピー性皮膚炎でかゆがるところと似ています。
また外耳炎が必ずみられます。
【原因・治療】
主な原因としては、一般的に ホルモンの異常(内分泌障害)、脂肪分の不足、ミネラルや
ビタミンの不足、アレルギー、寄生虫・真菌感染などがあげられますが、E.コッカーの場合、
家族性のもの(生まれ持った体質的なもの)が多いと考えられています。
治療は まず原因となる病気があればそれを治療します。
脂漏症そのものに対する治療は、症状にあわせておこないます。
油性の場合、脂肪酸製剤や動物性脂肪、コーンオイルなどを与えます。
また、角質溶解剤と、抗脂漏(硫黄、セレン、タール系の)シャンプーを使い、できるだけ乾燥させる
ことが大切です。
ただし、これらのシャンプーをひんぱんに使うと、溶けた角質層の再生が追いつかなくなり、
皮膚がひどく乾燥することがあるので シャンプーの頻度は、獣医師の指示に従いましょう。
毛刈りが必要な場合もあります。 |
◇アレルギー性皮膚炎 |
◇アレルギー性皮膚炎
【症状】
アレルギーをおこす原因となる物質(アレルゲン)はさまざまですが、主な症状はほぼ共通して、かゆみです。
食物アレルギーの場合にはかゆみ以外に 下痢症状がみられる場合もあります。
部分的または全身に強いかゆみがおこり、その結果、二次的な皮膚病を招くことも多くあります。
【原因】
アレルギー性皮膚炎は アレルゲンの種類によって大別することができます。
主なものは・・・
<アトピー(吸引性皮膚炎)>
イヌでは もっとも発症率が高いアレルギー性皮膚炎です。
ハウスダスト、花粉、ダニ、真菌などがアレルゲンとなり、空気中に漂うこれらを吸い込むことで発症します。
季節によって、症状が出たり出なかったりする場合も多いです。
また、アトピーのイヌは ノミの唾液成分に対するアレルギーを持つことも多いようです。
<食物アレルギー(食餌性アレルギー性皮膚炎)>
食べ物に対しておこるアレルギーです。
アレルゲンとなる食べ物は多いですが、さまざまな肉類、牛乳、卵や穀類など、また、
ある種のドッグフードによっておこることもありますが、イヌによって原因はさまざまです。
<接触によるアレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)>
特定のものにさわることによってあらわれるアレルギーです。
シャンプー、ノミ取り首輪、じゅうたん、プラスティック製の食器など、イヌが日常使っているものや
よくさわる器具が アレルゲンとなっています。
【治療】
治療のスタートでは かゆみの症状が、他の病気によるものでないかどうか見分けることからはじめます。
アトピーの場合は 薬用シャンプーや抗生剤などの薬を使って皮膚の状態を治療するとともに、
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)の特定を目指しますが、イヌの場合血液検査や
皮膚組織によるアレルギー診断、アレルギー判定はまだ開発調査段階にあり完全ではありません。
食物アレルギー、接触によるアレルギーの場合は アトピーに比べると アレルゲンを取り除きやすい
場合が多く、取り除くことができれば 症状は治まります。 |