捨てないで<<どんな犬<<かかりやすい病気(遺伝疾患)<<遺伝疾患3(股関節形成不全)
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CHD(股関節形成不全) |
股関節形成不全は ほとんどの犬種に見られる遺伝疾患です。
近年、犬の遺伝疾患の中で もっとも有名な病気かもしれません。
大型犬種で問題になることが多いですが、E.コッカーでも発症します。
CHDの多くは若い頃に発症し、一生を通じて痛みから開放されることがないかも
しれない、犬にとってQOL(クオリティオブライフ)に大きく関わる整形外科疾患です。 |
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遺伝形式 |
多遺伝子性(原因遺伝子が複数ある)ですので、「その病気のなりやすさの程度」を
親犬から引き継いでいます。 その「なりやすさの程度」は個々の犬によって様々です。
原因遺伝子の特定は、未だなされていません。 |
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原因 |
股関節が正常に発育しないことが根源的な原因です。
股関節は 大腿骨頭(太ももの骨の突起した部分)と、寛骨臼(骨盤のくぼんだ部分)が
うまく組み合わさって正常に動きますが、それぞれの部分の発育の釣り合いが取れずに
寛骨臼のくぼみ方が浅かったり、大腿骨頭が正しい形にならなかったりすると、骨どうしが
うまくかみ合わず、関節に緩みができてしまい、股関節に亜脱臼や脱臼をおこしたり、
ひいては二次的な関節疾患(変性性関節疾患)をひきおこしたりします。 |
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発現(遺伝と環境) |
CHDは 遺伝要因(=親から引き継いだ「なりやすさ」)と
環境要因(=なりやすさを助長する環境的な要素:運動量、肥満など)の
2つが組み合わさって 発現します。
環境要因が発現に影響する度合いは その犬の持つ遺伝要因の程度によって違いますが、
遺伝要因を全く持たない犬は どれほど環境要因が揃っていても CHDを発症することはありません。
実際の発現は 骨格が急成長する発育期に始まり、徐々に進行します。 |
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症状 |
次のような様子が見られる場合は、CHDを疑ってみるべきでしょう。
階段を上がるのを嫌がる
ジャンプを嫌がる
びっこをひく
散歩の途中で座り込む
寝ている姿勢から起き上がるのが困難
歩くとき、腰が左右にゆれる(モンローウォーク)
走るときに 左右の後肢が揃って うさぎ跳びのような形になる
前肢にくらべ 後肢の足先の間隔が狭く、後肢の歩幅も狭い
横座りする
但し、症状が軽度の場合など、犬は自分でうまく動けるように歩き方などを工夫してしまうことも多いため、
見た目だけではわからないこともあります。
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診断 |
レントゲン検査をせずに歩き方などだけで判断したり、逆にレントゲン写真のみで
判断したりという話を聞きますが、CHDは目に見える症状とレントゲン上の状態が
必ずしも一致していない場合も多い 複雑な疾患です。
正確な診断は、以下の全ての検査を行い、総合的に判断することによって初めて
なされるものです。
立様・歩様検査 (立ち上がり方や歩き方を診る)
触診 (関節がどのくらい動くかを試す オルトラニ・サインなど)
レントゲン検査 (OFA、PennHip、JAHDなどの検査専門機関による評価) |
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治療 |
大きく分けて 2つの治療法があります。
●内科的療法=保存的治療法
体重制限(減量)
運動制限(緩やかな運動を 少しずつ頻数回行う)
薬剤(鎮痛消炎剤、サプリメント)
リハビリ(水泳など運動療法、レーザーなど理学療法)
●外科的療法=手術
恥骨筋切除術
3点骨盤骨切術
骨頭切除術
人工関節置換手術 など
尚、現在E.コッカークラスのサイズに合う人工関節が作られていないため
人工関節置換手術は行われていないようです。 |
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対策 |
どうすればCHDの蔓延に歯止めをかけることができるでしょうか。
CHDは原因遺伝子の特定がされていない遺伝疾患ですので、
「CHDを受け継いでいる可能性のある犬を繁殖ラインから外す」ということ以外に方法はありません。
その可能性を判断するためには、上述の通り、必ず正確な診断を受けることが不可欠です。
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参考にした文献およびウェブサイト |
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