捨てないで<<どんな犬<<かかりやすい病気(遺伝疾患)<<遺伝疾患4(膝蓋骨脱臼)
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膝蓋骨脱臼 (Patellar luxation) |
膝蓋骨脱臼とは 後足の膝関節(お皿)がはずれてしまうもので、膝の脱臼は犬のすべての
脱臼の約20%という高率にみられる疾患です。
OFAのデータ(1974年1月〜2003年12月)によれば、E.コッカーの膝蓋骨脱臼発症率は
検査を受けた頭数中、10.5%にのぼり、41犬種中第7位にランクされています。
E.コッカーにとって、膝蓋骨脱臼はCHDよりも注意が必要な疾患かもしれません。 |
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遺伝形式 |
多遺伝子性(原因遺伝子が複数ある)ですので、「その病気のなりやすさの程度」を
親犬から引き継いでいます。 その「なりやすさの程度」は個々の犬によって様々です。
原因遺伝子の特定は、未だなされていません。 |
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原因 |
本来膝蓋骨は、膝の中央で大腿骨の滑車溝の中に収まっていなければなりませんが、
先天的に脱臼していたり、滑車溝が浅かったり、繋がっているじん帯の付きかたがおかしかったり、
周囲の筋肉や骨が正常な形にならなかったり、といった様々な理由で 膝蓋骨がはずれてしまいます。
交通事故などの外傷による後天的なものもありますが、ここでは 先天性、または発育性の
脱臼について説明します。 |
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内方脱臼と外方脱臼 |
膝蓋骨脱臼には 内側にはずれる内方脱臼と、外側にはずれる外方脱臼があります。
一般的には 内方脱臼は小型犬に、外方脱臼は大型犬に多いとされていますが、
E.コッカーでは 両方とも発症例があります。(日本国内) |
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症状とグレード |
症状によって 4つのグレードに分けられます。
●グレード1:
膝蓋骨を指で押すと外れるが、自然に元に戻る。
痛みはほとんどないが、稀にスキップする様な歩き方をすることがある。
骨の変形はない。
●グレード2:
寝起き時に足を伸ばした際など、時々外れ、跛行する(びっこをひく)が、指で押すと戻る。
ほとんど痛みはない。
日常生活に支障はないが、骨の変形が進み膝蓋骨を支えるじん帯が伸びてグレード3に進行することがある。
●グレード3:
常に外れた状態で、指で押すと戻るが またすぐ外れてしまう。
多くは膝関節を曲げたまま 歩くので、完全に跛行する。
大腿骨や脛骨の変形も明らかになってくる。
●グレード4:
常に外れた状態で、指で戻らない。
大腿骨や脛骨の変形もさらにひどくなり、患肢にほとんど体重をかけることができず、
蟹のような姿勢で患肢を浮かせたようにして歩く。 |
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診断 |
膝蓋骨脱臼の診断では ていねいな触診が重要です。
異常があり、必要だと判断された場合は、レントゲン検査や 場合によってはCT検査なども
行われ、脱臼と骨の変形、変性性関節疾患の程度などを調べます。
なお、どんな病気でも 早期に発見することが非常に大切です。
膝蓋骨脱臼は 軽症の場合ほぼ無症状ですので、犬を家族に迎えたら ワクチン接種
などのときに、積極的に膝関節を触診してもらいましょう。 |
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治療 |
膝蓋骨脱臼の治療法は、患犬の年齢や症状の程度によって さまざまです。
・軽度の場合(=痛みと機能障害がみられない 例:グレード1)
経過観察を行います。この場合、定期的(1〜2ヶ月ごと)に獣医師による
触診チェックを受けることが重要です。
・重度の場合(=痛みと機能障害がある 例:グレード3以上)
外科手術を行い、脱臼の修復と、その肢に体重がかかったとき、膝蓋骨が
なめらかに動くようにします。
特に、犬がまだ幼く(12ヶ月齢未満)、グレード3〜4の脱臼の場合は、特別な理由が
ない限り、手術を即行することが奨励されます。 |
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対策 |
膝蓋骨脱臼を防ぐためには
1. 新しく子犬を求める場合
できるかぎり血縁のある犬の膝蓋骨脱臼発症について調べ、異常がないか、あるとしたらどの程度のものかを参考にする
2. 発症した犬を飼っている場合
繁殖には用いない
膝蓋骨脱臼もCHD同様、原因遺伝子の特定がされていない多遺伝子性遺伝疾患ですので、
「この疾患を受け継いでいる可能性のある犬を繁殖ラインから外す」ということ以外に蔓延を防ぐ方法はありません。
定期的な検診を受ける
体重制限し、太らせない
床など 滑りにくい素材にする
軽症の犬の場合は 習慣的に脱臼を自分で治すものもいるので、飼い主が気づかないこともあります。
が、老齢化すると 膝のじん帯(前十字じん帯)が弱くなり、また脱臼によりじん帯を痛めている場合もあるので、
急激に動いたりすると 正常な犬よりも膝にかかる負担が大きく、じん帯が切れてしまうことがあります。
このような犬には、足に極力負担がかからないよう 上述のようにきめ細かな飼育管理をするか、
または若くて元気な時期に 修復手術を受けると良いとされています。 |
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参考にした文献およびウェブサイト |
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