犬の聴力検査方法 |
※行動学的検査法 |
観察場所 |
行動所見 |
評価 |
自宅 |
大きな音がしても眠ったまま 同腹仔と遊ぶ時に他の仔犬が痛がって発する声を聞くことが出来ない為に攻撃的になりやすい |
両側性先天性難聴(聴覚機能は仔犬で生後14日齢頃に出現する) |
診察室 |
定位反応・・・音などの刺激、なかでも新奇な刺激に対して目や耳が刺激源に向くように身体や頭部がすばやく回転する反応。驚いた時に生じる定位反応は動物の意思に関係なく生じる不随意反応
プライエル反射・・・音刺激に対する反射性の耳介運動で、聴覚上位中枢が関与しない反射。 臨床的には定位反応を観察する際に耳介の動きにも注目して、これら2つの反射を同時に評価するのが実用的。 |
片側性あるいは両側性難聴 |
行動学的所見の判定には、動物の状態の評価や反応の評価など、検者の主観に依存する部分が多いことに注意。
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※電気生理学的検査法 |
1, 脳波による聴力検査(EEG Audiometry) |
・無麻酔で脳波を記録できる協力的な犬では、脳波を記録しながら音刺激を与え、音に反応して脳波が変化すれば、
音情報が大脳に達している(聴力あり)と判断。 |
2, インピーダンスオージオトメリー(Impedance Audiometry) |
・チンパノメトリー、コンプライアンス(共に鼓膜の動きをみる検査の値)の測定と耳小骨筋反射閾値測定の総称。 ・人では伝音性難聴の細胞診断や感音性難聴の部位診断に用いられる。 ・獣医学領域でも、チンパノメトリーやアブミ骨筋反射の測定が行われているが、臨床応用には至っていないようである。 |
3, 聴性脳幹誘発電位(BAEPs : Brainstem auditory evoked potentials) |
・聴覚求心性経路のうち、主に蝸牛と脳幹に発生した電位変化を記録したもの。一般的には、ヘッドフォンを用いて
音を聞かせ、同時に頭部においた電極(針電極を皮下に刺入しても、脳波用の皿電極を皮膚に貼付してもよい)
から誘導した電位を、コンピューターで処理して得られる。 ・再現性が高く、聴覚の客観的指標、あるいは脳幹機能の指標となる。 |
参照…Small Animal Clinic No.108 「動物の感覚 イヌおよびネコの聴力」
鹿児島大学農学部獣医学科家畜生理学教室 川崎 安亮 著